crazy broken
逃走者は少し気まずさと不安そうな顔でお礼を言って二人を見送った後、沈黙になる。
ジュースを飲みながら、舟木早智子が「取り合えず、食べ飲みしよう。」と言い、蒼褪めた顔色を見て、「温かい飲み物持って来ようか??ココア??コーヒー??紅茶??ホットカルピス??んじゃぁ、適当に全部持って来るね。」と言い席を立ちドアを開けてお盆に使用済みの食器を積んで、ドリンクバーに行き、新しい飲み物を入れ替えていた時、店員が溜まった食器を片付けに来て、470号室の客がホットカルピス、紅茶、コーヒーを入れてお盆に載せている。
ミックスジュースをする訳でもなく、交替で飲み物の入れ替えをしているが、若い子がグループで来て占拠して汚し放題にされるよりもずっと楽である。
大学生か専門学校生だろうか、授業でもさぽって遊んでいられるなんて学生の特権である。
そんなことを思いながら食器の回収を行って一階に下りて行き、470号室に新しい飲み物が来て、配られた。
その頃、GPSを移動させようとしていた二人は、衝撃的なシーンを目撃する。
一階の出口で警察手帳を店員に見せて、刑事が店員に質問をしている。
「すいません。こちらに昨夜精神病院を脱走した方がいらっしゃらないか、店員さんに確認をして頂きたいのです。
比較的目立つ顔立ちのした女ですので、すぐわかるかと思います。
男の方は少し地味かもしれない。」
「失礼致します。」と繁々と写真を見つめるものの4分の1、2分の1らしい整った異国情緒溢れる顔立ちをしているが、男の方が何処にでもいそうな地味な顔立ちの男である。
確かに何処かで見た顔のような気がするが、そんな人は入って来た形跡はない。
「池沼さん、時刻は3時ですので、フロアチェックお願い致します。
時間になったらテキパキと決められた業務を行わないと次の交替の人の仕事を押してしまって人に負担をかけてしまうのよ!!」とテキパキとした年が高めの女の人が出て来て言われた。
刑事は一瞬顔を歪めて「失礼ですが、店長さんでしょうか??
前回この二人は全裸でナイフを振り回して放火事件を起こしており、鑑定入院中になっています。
そして、携帯のGPS機能でこのあたりを確かに示しているので、反応しているエリアの店舗や建物を捜索しています。」と言った。
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