とけないゆき
「終わった!10分もかかっちゃったあ。」
セーラー服の袖を腕まくりして
長い髪の毛を2つに縛っていた。
いつのまに。
「がんばったんだね。2つ縛り可愛いよ。」
百花は鏡で何度も自分の顔を見て
可愛くない可愛くない
と言いながら髪の毛をほどいた。
「勉強するために気合いれただけだし!」
はずしたゴムを腕にかけ、また席へ戻った。
百花で可愛くないなら私はどうなるんだか。
自分が嫌になる。
くっきりともいえない二重。
高くはない鼻。
特徴のない口に
決して小さくも大きくもない顔。
なにひとつ
取り柄なんかない。