先生と教官室2〜新しい道〜
コーヒーを一口。
深呼吸を一つ。
そして、進藤先生がゆっくりと話し出した。
「僕は、甲田先生みたいに器用な恋愛はできません。まぁそれは経験が少ないだけなのかもしれませんが…。」
器用な恋愛なんてしてるつもりはないんだけど…回りから見たらそう見えるのだろうか。
「じゃあ、横井の事は諦めたのか?」
二人のあの笑顔はただの空元気とでも?
「ははっ、何言ってるんですか?」
「…え?」
「やっと見つけた、こんなに大切に思える女性を簡単に手離したりはしないですよ。」
自分の事じゃない。
これは進藤先生の恋愛話しなのに、何故だか自分の鼓動が速くなっていく。
「ゆっくりと大事にしていきたいんです。だから、今は見ているだけでお互い我慢しようって。」
スピードをおとす事のない鼓動は、俺の胸を締め付けてくるようだった。