先生と教官室2〜新しい道〜
ちょっとした違和感
『それでは、3年生の皆さんと先生方はリレーの準備をお願いします。』
さっきまでここにいた先生は、今はコースの向こう。
身体にたすきをかけて自分の順番を待っている。
鈴原先生、牧先生、進藤先生、そしてまさかの…いや、当たり前に先生はアンカーだ。
「…始まるね。」
「うん。」
私と恵那の手には先生達のジャージが握られている。
誰もが先生のと知らないこのジャージは、今では私達のお守りのようになっている。
先生達のおかげで、私も恵那も不安が和らいだ。
だから、今ではリレーが少し楽しみだったりする。
『よーい…パーンッッッ!!!!』
再び、音と共に大歓声がグラウンドを包んでいく。
目の前で起きているその光景は、あまりに速く動くものだからついていくのが大変だった。
とても同じ人間とは思えない。
女と男ではここまで違うものなのだろうか…。
「あははっ!!鈴原先生意外に速いし!!!」
「確かに…。」
いつもはおっとりしている鈴原先生だけど、今日ばかりは一味違う。
順位も9位中4位と大奮闘しているし…十分すごいよ。