先生と教官室2〜新しい道〜
さっきまで黙っていた伊緒の声に驚きながらも顔を見ると、目に沢山涙を溜めながら俺を見ている姿が映った。
「伊…」
「バカ、先生のバカ!!」
突然の事で何も理解出来てない俺の胸に、伊緒がとびついてくる。
ぎゅうっと俺の背中へと回された手は震えていて、でもとても力強く俺を抱きしめてくれていた。
「優しすぎるよ…先生。」
「え?」
俺の胸で泣いている伊緒は、もしかして俺の為に泣いてくれているのだろうか。
「全部嘘ですよね?ジャージも、リレーも…。」
「伊緒?」
ジャージを握りしめている手の力が、少し強くなった気がした。