先生と教官室2〜新しい道〜
「私達が不安にならないように、わざと長袖のジャージなんか着たんですよね?じゃなかったら、こんな暑い日におかしいですし…。
それにリレーだって、先生はわざとコケた。あの子が我慢してるのが見えて…だから足をつったフリして自分に視線がくるようにした。そうですよね?」
いつからこんなに大人になったのだろう。
自分の事で泣いてばかりの伊緒が、今では俺の為に泣いてくれているだなんて。
伊緒があまりに必死にに抱きついてくれるから、何だか包み込まれている気持ちになってくる。
「はぁー…全部気づいてたのか?」
「…当たり前です。」
事実、伊緒が言った事は全て正解で誤魔化す事はできなかった。
かっこつけたつもりが、何か俺かっこわるいな…。
「嘘ついてごめんな。」
伊緒の頭に手を置いて謝ると、伊緒は頭を横へと振った。
「…嬉しかったです、本当に。先生の私達への優しさも、あの子への優しさも全部。あの時の先生の姿は一位でゴールする姿よりもかっこよくて…感動しました。」
「…っっ」