先生と教官室2〜新しい道〜
「…伊緒、帰ったらクッキー焼こうか。」
家の近くにある喫茶店を通りすぎると、少し開いている窓から、かすかにコーヒーの匂いがした。
私が生まれる前からあるらしい喫茶店。
雰囲気がとても良くて、何故だかみているだけで落ち着く。
「伊緒?ちょっと聞いてる?」
「え、あぁ…何で急にクッキーなの?」
お母さんも喫茶店からする匂いにつられたのかな?
「伊緒の事だから、どうやってお礼しようとか考えていたんじゃない?だったらクッキーはどうかなってね。」
「う゛ぇ……??!」
まさかのまさかの返答だった。
どうして、こうも私の周りにはエスパーのような人ばかり…。
それとも、私が解りやすいだけ?
「焼くのはお母さんがやるから。伊緒は座って出来ることだけやりなさい。」
「うんっ、ありがと。」