先生と教官室2〜新しい道〜






ドアの前に立ったままの伊緒をソファーに促しながら訪ねると、少し唇を噛んでから俺に紙袋をつき出した。







「…これ、昨日のお礼…です。」






「昨日の?お礼?」






「はい……」






受け取った紙袋からする甘い匂い。





触って解る形からして、これは…。






「…クッキー焼いてくれたのか?」






「はい。あ、でもお母さん達に手伝ってもらって…」







俺の顔を見ようともせず話し続ける伊緒は、それほどまでに恥ずかしい気持ちなのだろうか。







もしかして、こういう風に手作りをプレゼントするのは初めてなのか?








「お母さん達って…」







「お父さんも手伝ってくれたんです。初めてですよ、三人でのお菓子作りとか誰かに手作りプレゼントするのとか…」







そこまで言って、伊緒の顔が固まった。






どうやら最後のプレゼントのくだりは話すつもりじゃなかったらしい。










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