先生と教官室2〜新しい道〜
「マグカップどこだろうな。」
「そう、ですね…」
まるで今の状況は夢みたいだ。
人前で先生と手を繋いで歩いているなんて…。
「おっ、あそこじゃないか?」
先生、あんなに前の事を覚えていてくれたんだね。
私が一年生の時にした、小さな約束。
確か部活の買い出しと称して、オムライスの材料を買っていた時だったよね。
あの時は学校が近くて名前で呼ぶ事すらできなかったのに。
そういえば、あの時も先生の言葉にドキドキしたっけ。
少し照れながら『今度は遠くのスーパーに行こう』って言ってくれた先生の顔、可愛かったなぁ。
先生は私をドキドキさせてくれる天才だね。
「おい?どうした?」
「…ありがとう、せ…翔也さん!!」
私の方に振り返った先生に、笑顔を向ける。
握られている手にも、少し力を込めた。