先生と教官室2〜新しい道〜
「ほら、好きなの選べ。」
マグカップの所についても先生はこっちを向かない。
違うところを向いて話している。
「私の好きなのでいいんですか?」
「ん…あ、でもピンク以外な。」
「はーい。」
先生に言われなくてもピンクを選ぶつもりはない。
昔から好きな色は青や黄緑色とかで、むしろピンクは苦手な方。
「あ、あれいいなぁ。」
一番上の棚から見えている、紺色のマグカップ。
白系が多いなかで珍しいその色は、一際目立っている。
そして、全体的に紺色のなかにあるワンポイントの白い花が、私の胸を更にくすぐる。
「あのっ、あれ…」
「伊緒悪い、ちょっとここにいて。」
「……え?」
先生に紺色のマグカップを取って貰おうと思った瞬間、先生は私の手を離してどこかへ行ってしまった。
「うーん……」
知らない所で一人ぼっちということほど寂しいものはないよね…。