先生と教官室2〜新しい道〜
「……え?」
ふと横から聞こえてきた声に、伸ばそうと上げた手をおろす。
そして声の方に顔を向けると、そこには脚立を持った若い男の人が立っていた。
「あ、すいません。脚立を渡すというより僕が取るべきですよね。」
「あ、や…その…」
「どちらの商品をご希望ですか?お取りします。」
黒いエプロンをつけたこの人は、多分大学生くらいだろう。
人当たりが良さそうな笑顔で、声や話し方も凄く優しい。
きっとここのバイト長いんだろうな。
「…お客様?」
「え、ぁ…すいません。一番上の紺色のお願いします。」
初めて来たスーパーで一人ぼっちだった私には、この人の接客が凄く安心した。