先生と教官室2〜新しい道〜
レジに向かおうとしていた私の腕を誰かが引っ張った。
そして、そのいきなりの衝撃で私は見事にバランスを崩し後ろへと倒れていく。
「うわわっ………っあれ?」
確かに身体は倒れていったはずなのに、何故かどこも痛くない。
むしろ見事に立っている。
「すいません、いきなり引っ張ったりして。大丈夫ですか?」
…やばい気がする、この状況。
私の倒れかけた身体は、さっきの店員さんによって支えられているんだ。
しかも支えられているだけじゃなく、後ろから抱きしめられているような…。
「あ、の…」
とりあえず早く離して欲しい。
いくら人気がない場所でも、ましてや見ず知らずの人にこんな事されたくない。
「や、離して…」
「俺、ここのバイトもう直ぐ終わるんですけど、良かったらご飯行きません?」
なんだこの人は…。
人の話しを全くといっていいほど聞いていない。
良い人だと思ったのに。
これじゃそこらへんに居るナンパ野郎と一緒だよっ!!
「ちょ、だから離し…」
無理矢理腕をどかそうとするけど、びくともしない。
まして、力は強くなるばかり。
「いっ、痛…」
「俺、大学三年の…」
「…伊緒?」