先生と教官室2〜新しい道〜
「ありがとうございました。」
会計を終えたマグカップは、白い小さな箱にいれられていた。
紺色のマグカップとは正反対のその色が、やけに寂しく思える。
まるで、色あせてしまったように。
結局、お金も先生が払ってくれた。
自分で使うものだから、と言って私の手を遮った先生。
その時の目は、とても冷たかった。
「…………っっ」
どうしたらいいんだろう。
何て言っていいのか解らないよ。
先生は、会計をしてから一言も話してくれないまま。
ただひたすら私の手を引っ張って何処かに向かって歩いている。
バレないように流している涙だって、いつもならエスパーのように気づいてくれる。
笑って、大丈夫だって抱きしめてくれるの。
全身で温もりをくれるんだ。
でも今は、握られている手からも先生の温もりが伝わってこないよ…。