先生と教官室2〜新しい道〜
地下を出て、更にスーパーを出ると、目の前には大きな公園があった。
電灯がポツポツとついているけど、明るすぎない公園。
そこは今の私には最適な所だった。
「っく、ひっ……ぐす」
さっきと同じようにベンチに座り、足を抱えた。
流れる涙と漏れる声は、私と木々しか知らない。
きっと、先生心配してる。
前みたいに走って探してくれてるんだ。
電源を切った携帯には、何通のメールと不在着信が記録されているのだろうか。
「っっうわ…ぁん…」
一人で考えている今、先生が言いたかった事が少し解る気がする。
私も悪かったんだ。
先生が居ないときにあの人に優しくされて、安心しちゃって、きっと隙だらけだった。
誤解されてもおかしくないよね。
「せ…んせ…」
いつもみたいに笑ってくれなかった先生。
大丈夫か?とも聞いてくれなかった。
もう呆れられちゃったのかな。
「あら、あなた大丈夫?」
「え…?」
俯いてばかりだった顔を上げると、私の前には老夫婦が立っていた。
「どうしたんだい?こんな暗いところで。」
「あなた、歩ける?私達このすぐ近くで喫茶店をやっているんだけどね。良かったら温かい飲み物でもどうかしら?」
「……い、いんですか?」
「あぁ、もちろん。もう閉店の時間だから客も居ないしね。ゆっくりしていきなさい。」
「っっはい…。」
それから、老夫婦は私の背中に手をあてながら一緒に歩いてくれた。
公園からも見えているその喫茶店は、二人と同じように優しさが滲み出ている。
見ず知らずの人に隙を見せてはいけないと解っていたのに、今の私には二人の優しさが唯一の救いに感じた。