先生と教官室2〜新しい道〜





地下を出て、更にスーパーを出ると、目の前には大きな公園があった。






電灯がポツポツとついているけど、明るすぎない公園。






そこは今の私には最適な所だった。







「っく、ひっ……ぐす」






さっきと同じようにベンチに座り、足を抱えた。





流れる涙と漏れる声は、私と木々しか知らない。






きっと、先生心配してる。





前みたいに走って探してくれてるんだ。







電源を切った携帯には、何通のメールと不在着信が記録されているのだろうか。








「っっうわ…ぁん…」







一人で考えている今、先生が言いたかった事が少し解る気がする。






私も悪かったんだ。






先生が居ないときにあの人に優しくされて、安心しちゃって、きっと隙だらけだった。







誤解されてもおかしくないよね。








「せ…んせ…」







いつもみたいに笑ってくれなかった先生。






大丈夫か?とも聞いてくれなかった。






もう呆れられちゃったのかな。








「あら、あなた大丈夫?」







「え…?」








俯いてばかりだった顔を上げると、私の前には老夫婦が立っていた。








「どうしたんだい?こんな暗いところで。」








「あなた、歩ける?私達このすぐ近くで喫茶店をやっているんだけどね。良かったら温かい飲み物でもどうかしら?」








「……い、いんですか?」






「あぁ、もちろん。もう閉店の時間だから客も居ないしね。ゆっくりしていきなさい。」







「っっはい…。」







それから、老夫婦は私の背中に手をあてながら一緒に歩いてくれた。







公園からも見えているその喫茶店は、二人と同じように優しさが滲み出ている。








見ず知らずの人に隙を見せてはいけないと解っていたのに、今の私には二人の優しさが唯一の救いに感じた。










< 272 / 379 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop