先生と教官室2〜新しい道〜
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ブー…ブー…
「…っはい」
伊緒が俺の前から姿を消して三十分、どこを探しても見つからない。
駐車場から出たのは確かだが、店の中から出たのかは解らない。
『もしもし?久しぶりね、かっちゃん。』
「…お久しぶりです。」
ずっと握りしめていた携帯。
伊緒にはどれだけ電話やメールをしても返ってくることはなかった。
そんか中かけられてきた電話。
その電話の相手の声は優しくて、俺の焦った気持ちを落ち着かせていく。
『あなた、まだ来られないの?主人も待っているのよ。』
「…………。」
時刻は七時三十分。
伊緒も早く帰らさないといけない。
『…かっちゃん。今すぐ店に来なさい。』
「すいません、まだ…」
『いいから、今すぐ来なさい。』
人を待たせている罪悪感と、伊緒を早く見つけないとという焦り。
いつもは冷静に物事を考えれるはずなのに、今は頭が真っ白だ。