先生と教官室2〜新しい道〜
甘い香り
――“earnestly”
二人に支えられ着いた所は、黄土色のような明かりで照らされた優しい雰囲気の喫茶店だった。
外見や雰囲気全てが、まるで二人のよう。
優しくて、暖かくて、とても落ち着く。
「伊緒ちゃん、どうぞ。」
「ありがとうございます。」
歩いている途中に教えてくれた二人の名前。
笑顔が可愛くて、私の手をずっと握ってくれていたのが、奥さんの志帆さん。
少し前を歩いてエスコートしてくれたり、今私にココアを淹れてくれたのが、旦那さんの勇二さん。
二人はとても仲がよくて、その姿に正直少し憧れる。
「少しは落ち着いたかしら?」
「…はい、もう大丈夫です。」
さっきまでの涙が嘘のように、今は笑えている。
「…お二人のお陰ですね。本当にありがとうございました。」
二人が私に声をかけてくれたから。
話しを聞いてくれたから。
笑いかけてくれたから。
二人の優しさと、ココアの暖かさ。
その全てがあったから、今私はこうして笑えているんだと思う。