先生と教官室2〜新しい道〜
「ひた向きに…か…」
「ん?どうかしたか?」
「いえ……」
俺の言葉に不思議そうにしてから、勇二さんはゆっくりと扉を開ける。
すると、カランコロン…と、扉に付いている鐘が鳴り響いた。
扉を開けた瞬間に解る甘い香り。
この香りは、昔から知っている。
「かっちゃん、よく来たわねぇ。」
「志帆さん…俺の好物覚えててくれたんですか?」
「えぇ、もちろんよ。」
昔来ていた時に、毎回のように食べていたアップルパイ。
香りはとても甘いのに、食べてみると甘すぎず、りんごのシャキシャキとした歯ごたえがたまらないんだ。