先生と教官室2〜新しい道〜
あんなに焦っていた気持ちも、ここに来ると自然と落ち着く。
二人の優しい笑顔は、まるで魔法のようだ。
「かっちゃん、伊緒ちゃんここに居るわよ。」
「あ、はい…。」
甘い香りに少し立ち尽くしていた俺に、志帆さんが手招きをする。
それに応えるように持っていた荷物を机に置き、志帆さんが居る場所へと急ぐ。
志帆さんが居るのは、店の奥にあるソファーの席。
そこは昔俺がよく座っていた場所だった。
「伊緒っ………え?」
「どうした?……あっはっはっ」
俺の後ろから顔を出した勇二さんは、伊緒の姿を見て笑う。
そして、まるで励ますように背中を軽く叩かれた。
「きっと、沢山泣いて疲れたのね。」