先生と教官室2〜新しい道〜
「伊緒、ちゃんと話そう。思ってる事全部言っていいから。」
一度離れた先生の手が、もう一度私の頭へと触れた。
その手は優しくて暖かくて、まるでさっきいれてもらったココアのように心に沁みこんできた。
止まったはずの涙が、再び溢れ出してくる。
「……怖かったです。知らない場所で一人にされて。」
「うん、そうだよな。」
「男の人に触られた時だって、ずっと先生に助けてほしくて…。なのに、先生はずっと怒ってるから、だから…」
そこまで言った瞬間、先生は私を後ろから抱きしめた。
まるで壊れ物を扱うように優しく、そっと触れる程度に。
「ごめん、ごめんな伊緒…。」
抱きしめながら私に謝る先生は、クーラーのせいか少し冷たく感じる。
でも、伝わってくる確かな温もりは、少しずつ私の心をあっためていく。
ずっと求めていた先生の温もりだと、私に実感させてくれている。