先生と教官室2〜新しい道〜
私を抱きしめる先生の腕に、右手で少し触れてみる。
優しい抱きしめ方なのに、先生の腕はとても力強い。
私の言っている事は、わがままで自分勝手かもしれない。
もしかしたら、先生を苦しめているだけかもしれないね。
「伊緒…ごめんな。」
「せんせ…?」
あまりの弱々しい声に驚いて手を離すと、先生も私から身体を離した。
それを合図にするように、ゆっくりと窓から先生へと視線を戻してみる。
「っっせんせ…」
まるで、私が先生を見ると解っていたよう。
私から身体を離した先生は、真っ直ぐ私の顔を見ていた。