先生と教官室2〜新しい道〜





私を抱きしめる先生の腕に、右手で少し触れてみる。








優しい抱きしめ方なのに、先生の腕はとても力強い。







私の言っている事は、わがままで自分勝手かもしれない。







もしかしたら、先生を苦しめているだけかもしれないね。








「伊緒…ごめんな。」








「せんせ…?」







あまりの弱々しい声に驚いて手を離すと、先生も私から身体を離した。







それを合図にするように、ゆっくりと窓から先生へと視線を戻してみる。







「っっせんせ…」







まるで、私が先生を見ると解っていたよう。







私から身体を離した先生は、真っ直ぐ私の顔を見ていた。









< 294 / 379 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop