先生と教官室2〜新しい道〜





「…かしい。」






「え?」






俺の言葉を聞いてから下を向いていた秋山先生が、もう一度俺を見てから胸ぐらあたりの服を掴んできた。





俺を見る目が鋭すぎて、反らすどころか釘づけになってしまう。






「そんなのおかしいっ!!あの子は…あの子は私とあなたが殺したんです!!二人で行って花を供えるのは当然の事でしょう??!」







「それは…」







「私とあなたは共犯なのっ!!たとえ生まれる前でも小さな命を奪った犯罪…」






プルルルル・・・・プルルルル・・・・





「「…………。」」






服を掴む手の力が一番強まった瞬間、家の電話が鳴り響いた。






背後から聞こえるその音は、今の俺にとっては救いの音にも聞こえる。






取り乱していた秋山先生も電話の音を聞き我に返ったのか、服から手をはなした。






「…すいません。」





「いえ、本当の事ですから。」






さっきまでの勢いが嘘かのように、秋山先生の声が穏やかになった。






とられないままの電話も、いつのまにか鳴りやんでいる。







「…秋山先生。もうこういうのやめにしましょう。」







「え……。」






「いい加減お互い前に進むべきです。忘れてはいけないが、引きずる事もよくない。だから、こういう中途半端な事はやめにしましょう。」








「…でも、私はっ」






「あなたの俺に対する気持ちは本物じゃない。それ位自分でも気づいているんじゃないですか?」








目を下へと向けた秋山先生の頬には一筋の涙が流れていった。







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