先生と教官室2〜新しい道〜
「じゃぁ…失礼します。」
「はい、お気をつけて。」
あれから、今までの俺に対する勝手な行動を何度も謝ってくれた秋山先生。
帰る時には来たときの様子が嘘かのように、別人の顔つきになっていた。
歩く後ろ姿は凛々しくて、抱えられているヒマワリはさっきよりも輝いて見える。
あの姿を見れば幸輔も解ってくれるんじゃないかな。
自分の事しか考えてなくて、優しさや温もりを忘れていた秋山先生はもういないって。
今の秋山先生は、幸輔が好きだった秋山先生だっていうことを。
エレベーターへと姿を消す瞬間まで、その後ろ姿を見送った。
秋山先生と幸輔の話し合いがうまくいくように願いながら。
「甲田先生、本当にありがとうございました。」
すると、そんな俺の視線に気づいたのか、秋山先生はそう言ってお辞儀をしてからエレベーターへと姿を消していった。
今までは想像もできなかった展開に少しだけ戸惑いながらも、心は温かかった。
握りしめていたドアノブをゆっくりと引き、自分の身体を部屋の中へと戻した。