先生と教官室2〜新しい道〜
これでもかって程に先生の顔を見つめていると、うっすら目が開いた。
「……ごめんな。」
そう言って小さく呟かれた言葉は、私にじゃなく海へと響いていく。
真剣な時のいつもより少し低い声。
目の下にある微かな涙の跡をたどるように一筋の涙が流れていく。
たった一滴流れ落ちた涙は海の光を受けて輝いた。
寂しげで伏し目がちな先生の横顔と輝く涙が重なった姿が、私の目に飛び込んでくる。
「……伊緒?」
かっこいいとか、そういう感じじゃない。
ただ、すごくキレイ。
先生の横顔も、涙も。
何もかもがとにかくキレイで目が離せない…。
「どうした?おい?」
動かない私の頬に先生の手が触れた。
その瞬間、自分の頬にも涙が流れていることに気がついた。
「俺が泣いたからか?」
「あ、いや…違います。先生の横顔があまりにキレイで…」
「ふはっ何だそれっ!!」
「えへへ…」
やっと見れた笑った顔。
今見せている笑顔は偽物じゃないよね?
さっきの真剣な顔もキレイな横顔も好きだけど、やっぱり私は先生の笑った顔が一番好きだよ。