先生と教官室2〜新しい道〜
部屋の隅に置いていた足を、もう一歩前へと出す。
高鳴る胸の音を必死に隠しながら、先生の目と自分の目を合わせる。
「私…ずっと…先生の事が……っっ」
頭では何度も繰り返し流れているのに、口に出す事がなかなか出来ない。
モヤモヤして、ドキドキして、頭の中はもうグチャグチャ。
いつもはスラッと言えるのに、今日はどうしても時間がかかってしまう。
「片瀬?俺の事が何?」
「――――っっ!!」
さっきまでのワクワクした子供の顔とは全然違う、真剣な大人の顔が私を見つめてくる。
改めて相手に気持ちを伝える事って、こんなにも大変なんだね。
どうしようもないくらい緊張して。
「……好き、です。」
悲しくもないのに、涙が溢れそうになってしまうんだ…。