先生と教官室2〜新しい道〜
―――――――…コトッ
「え?解らない…って言ったか?」
「はい…。」
二人で足早に戻った教官室は、すでにコーヒーの匂いでいっぱいになっている。
俺の質問に弱々しく返事をしながら、進藤先生は机からコーヒーを持ち上げた。
…それにしても驚いた。
まさか進藤先生の悩みが『恋愛が解らない』というものだったなんて…。
「恥ずかしながら、今まで一度も人を好きになった事がなくて…。
だから胸が苦しくなるんだよ、とか言われてもイマイチ解らないんです。」
なるほど…まだ初恋もしたことがないと。
まぁ確かに、胸が苦しくなるっていうのは俺も今まで解っていなかった。
伊緒を好きになって初めて解った感触なんだ。
「そうだな…難しいよな。」