サンシャイン
始まり
始まりは小さな、しかし大きな一歩だった。

「このワクチンは全てのウイルスに対して有効です。我々に病気という言葉は最早、意味を持たないのです!」


テレビから白衣をまとった科学者が高らかに声を上げて呼びかけている。

この発明は成功……のはず…だった。



5年後…



街には人の姿が見えない。

いや、人だけではない。


動物すらいない。

全てが無音だ。


街は街としての機能をはたしていない。

建物は全て廃墟と化している。


太陽が輝く正午を過ぎ、やがて夜がやってくる。

全てが暗闇に包まれ始める。


18時過ぎ…一つの建物から人影が見えた。


懐中電灯で当たりを照らしながらゆっくりと外に出てきた。


腕には時計、背中にはリュック。


彼は適当な車を見つけるとエンジンをかけ、街中を疾走し始めた。


そして5分ほど車を走らせたあと、一軒の家に入った。


家の中にはライフルやピストル、マシンガンが置いてあった。



リビングには自家発電機があり、どうやらこれで電気を賄っているらしい。
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