失恋インストール
何か変えたいのに何も思い付かない私は、とりあえず世の慣わしとして髪の毛を切ることにした。腰の辺りまで伸ばしていた髪の毛とも今日までの付き合いにしよう、あいつ好みのロングヘアは彼女のあの子以外なんの意味も持たないはずだから。
もうすぐ雨粒を落としてきそうな窓の向こうの景色に、部屋のドアを開けるのも億劫になる。意を決して出た先に待っていたのは、いつもと変わらない大勢の人が行き交う交差点やら遊歩道で、憐れみや軽蔑や好奇を隠しきれずに人々が私を見ている気がして足早に美容院へ向かった。あんなにたくさんのマンホールの柄を始めて見た気がした。
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