ブルーワールド
ポコッ ポコッ
泡の粒が上がって行く様子は小さな白い星がいくつもあるようで
水圧が肺の空気を押し出して
苦しいはずなのに幸せ
そんなよくわからない感情にかられた
初は身体のバネを使い
勢いよく水面の方へ浮かび上がった
手を繋いでいたから俺も一緒に
ハァッ ハァッ
初の顔は酸欠のせいか上気していて
夕日のせいもあって赤く輝いていた
そして一呼吸おいてから言った
「すごいね、綺麗だった。…栄はいつもあんなのを見ているんだね。」
「よかった?」
「うん。すごく」
「あれな、普通の水じゃできねぇの。俺昔風呂でやったけど出来なかった。」
初は少し興奮気味で、俺もつられて少しテンションあがった。
しかしそういうと初は少しだけ泣きそうな顔をした。
「海…海でも、見えるかな」
呟くような消えそうな声だった