ブルーワールド



「見えるんじゃねぇかな。海って青いし、もっと綺麗かもな」



俺は泣きそうな初の顔なんか見たくなくて
笑っていてほしくて
わざと明るくそう言った。



「そっか……。そうだよな。帰ろっか栄?」



「へっ?あぁ。」



初は俺の心配をよそに、明るく振る舞った。



「帰りは栄が送って行くんだからね!駅まで」



「はあ?」



「当たり前じゃん!栄はレディをひとりで帰すような卑劣なやつだったのね!」



ヒドイ言われようだな。



「卑劣って…普通に一緒に帰るとか言えよ!」



「細かいことにはこだわらないの!おいて行くからね!」



「えっ。ちょっ、待ってよ!おいってば!」




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