解ける螺旋
Episode2:壊される世界
堕ちた月
――好きだったのかもしれない、と。
過去の自分に、その仮定を推論してみると、私の心の潜在意識が妙にクリアに浮かび上がって来た。
不思議な感覚。
実際には経験していない、思い抱いていなかったはずの感情を、健太郎とのやり取りの中で垣間見た気がしてならない。
なんでだろう。
何故か自分でも理解出来ない。
自分の中のどの記憶を辿っても、そこにはなかったはずの想いが溢れる。
だから、『かもしれない』じゃなくて、本当に好きだったんだと思ってみる。
それはそれで納得行かない想いではない。
だけど恋心を抱くような決定的な現実があったのか。
危険を感じる度に健太郎に助けられて来た、というのは、本当に起こった出来事なのか自信が持てない。
もしそれが本当に起きた出来事だったなら、私がどういう過程を経て健太郎に想いを寄せたのかもわかりやすいのに。
最近いつもどこかで訪れる錯覚に、眩暈がしそうになる。
多過ぎる既視感。
感じた事のないはずの気持ち。
そんなもので感情は飽和して、私自身が持っているはずの記憶や想いに自信が失くなっていく。
自分の意識が飲み込まれて行く前に、私は何が起きているのかを必死に探ろうとしていた。
過去の自分に、その仮定を推論してみると、私の心の潜在意識が妙にクリアに浮かび上がって来た。
不思議な感覚。
実際には経験していない、思い抱いていなかったはずの感情を、健太郎とのやり取りの中で垣間見た気がしてならない。
なんでだろう。
何故か自分でも理解出来ない。
自分の中のどの記憶を辿っても、そこにはなかったはずの想いが溢れる。
だから、『かもしれない』じゃなくて、本当に好きだったんだと思ってみる。
それはそれで納得行かない想いではない。
だけど恋心を抱くような決定的な現実があったのか。
危険を感じる度に健太郎に助けられて来た、というのは、本当に起こった出来事なのか自信が持てない。
もしそれが本当に起きた出来事だったなら、私がどういう過程を経て健太郎に想いを寄せたのかもわかりやすいのに。
最近いつもどこかで訪れる錯覚に、眩暈がしそうになる。
多過ぎる既視感。
感じた事のないはずの気持ち。
そんなもので感情は飽和して、私自身が持っているはずの記憶や想いに自信が失くなっていく。
自分の意識が飲み込まれて行く前に、私は何が起きているのかを必死に探ろうとしていた。