解ける螺旋
それでも諦められなかった。


第一線からは消えていても、細々と研究を続ける学者もいる。
彼はその後に開催された学会の中でも、必死にその学者の名前を探して、結局見つける事が出来ずに唇を噛んだ。


そして、絶望にとどめをさされる。


学者は亡くなっていた。
学壇を降り、研究の世界からも姿を消して。
今から五年前。
同じ学者で共同研究者だった妻と、心中自殺をして発見されていた。


――せっかく見つけたのに。


この方法ならもしかしたら、結果を残せたかも知れないのに。


――畜生。


間に合わない。もう間に合わない。


パソコンの画面の前で彼は大きく頭を抱えた。
絶望だけが彼の心に黒い染みを広げて行った。


そして間もなく、彼はかけがえのないものを失った。


目的を失った彼は、医学の道を自ら断絶した。


目指す物が無意味になったから。


その姿は皮肉にも、彼が探し求めた学者の末路の姿と酷似していた。
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