解ける螺旋
信じたくない。
こんなの、私の意志じゃない。


なのに身体は怖い位正直だった。
だから私は何も言い返せないし、抵抗も出来ない。


知られているんだから隠しようがない。
足掻いても、何の意味もない。
だけどこのまま流されて先生を受け入れるのは悔しくて、私は涙を浮かべた瞳で必死に先生を睨み付けた。


そんな葛藤すらもお見通しなのか、先生は目を細めて私の身体を指で撫で上げた後、首筋に顔を埋めた。


「……そう、大人しく素直になればいい。
余計な事は考えずに。俺だけを感じろ」

「……っ!」


今まで聞いた事がない位、低くて甘い甘い声。
それなのに怖いと思う感情をを拭えないのは、この状況のせいか、もっと奥深い私の潜在意識なのか。


嫌、と言おうとしたのに、先生の唇が私の肌を這って、口を突く言葉は飲み込まれていく。


「……あ……」


激しいキスと愛撫に、意識が飛びそうになった。


もう当の昔に、抵抗なんて言葉は、頭の中から消え去っていた。
思考も感情も、先生に翻弄される。


――目の前が真っ白になった時、最後に視界が捉えたのは、先生の姿。


私を見つめる冷たい瞳。
何故かそこに、傷だらけの光を見た気がした。


「……どうして……」


掠れる声で意識を繋いで、その光に救いを求める。


傷付けられてるのは私なのに。


――どうして先生の方が苦しそうなの……?


その答えは、結局見つからないまま。
私はそれっきり、何も考えられなくなった。
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