解ける螺旋
先生はそんな私をどう思ったんだろう。
次に会う時どんな目で見るんだろう。
それを考えるとあまりの恥ずかしさに消えてしまいたくなる。


結局私の中にあるのは、先生への怒りよりも自分への羞恥の方が強くて。
そして自分の心の在処さえ見失う。


強い怒りは憎しみにもなる。
なのに、どうして私は、先生にどう思われているかを気にしてるんだろう。
先生に怖れを抱いてるのに、どんな目を向けられるかを気にするんだろう。


そうやって、私は結局先生の事ばかり考えてる。
数え切れない位たくさんの、入り組んだ複雑な感情。
絡まって縺れて、もう自分では解く事も出来ない。


この感情が何なのかを考える。
会って確かめれば早いってわかってるけど、やっぱりまだそんな勇気が出ない。


だから。
今日こそは研究室に行こうと、自分を促す自分に、必死に抗った。


――まだダメ。
まだ今日は。
< 121 / 301 >

この作品をシェア

pagetop