解ける螺旋
自分の声にハッとして、私はガバッと起き上がった。


布団を跳ね除けて、荒い呼吸で上下する胸を必死に押さえて。
ブルッと震えながら、辺りを見回した。


そこが見慣れた自分の部屋だと気付いて大きく息をつく。
そして額に浮かんだ嫌な汗を拭って、顔を上げて深呼吸をした。


少し気持ちが落ち着いて来るのを感じると、私は両手で頭を抱えた。


続く悪夢。
自分が殺される夢。
前はその内容をほとんど覚えていない事が多かったのに、今日の夢はやけに鮮明だった。


まるで本当に観た映像の様に。
生々しい位リアルなのに。
夢だからなのか、なんなのか。
妙に客観的で、殺されるのは私なのに、そこに私の意識はない。
はっきり覚えているのは、私が『殺される夢』ではなく、『殺されている夢』なんだと言う事。


怖い夢、なのに、夢を見ている私は妙に落ち着いている。
そして、目を覚まして夢の中の自分と同化した瞬間に、『怖い』と認識している。


そして、クリアになった夢の中で、何よりも私を怯えさせたのは、幼い私が健太郎に向けて言った言葉だった。
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