解ける螺旋
私でも驚いてるんだから、愁夜さんは完全に困惑してる。


「……結城君。なんか悩みでもあるの?」


多分その反応が当たり前だと思うけど、健太郎は素っ気なく、別に、と呟く。


「奈月の面倒みなくて済むようになったら、暇なんですよね。
俺もそろそろ真剣に彼女作ろっかなと思って」

「……彼女、ね」


愁夜さんはそう呟いてチラッと私に視線を向けた。
君のせい? と言われてる気がした。


完全に私を責めてる。
健太郎のこの態度は、愁夜さんにとっては私絡みの当て付けに感じられたのはわかるけど。
健太郎には愁夜さんとの事なんか話せる訳ないし、聞かれたとしてもなんて説明したらいいかもわからないのに。


「……ちょっと健太郎。何イライラしてるのよ。
それに私の面倒って。それと彼女作るのとどう関係が……」


意味不明過ぎ。
だけど溜め息をつきながら、とりあえず健太郎を止めに入る。
なのに健太郎は、私を無視して愁夜さんに食いつく。


「だって奈月は先生にお任せでいいんですよね?
俺、コイツの兄貴みたいなもんだったから。
奈月の代わりに、先生の妹もらおうかなって」

「お任せって……」

「健太郎!?」


愁夜さんはあ然として、私はギョッとした。
当の健太郎は一人で涼しい顔をしている。
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