解ける螺旋
そして私をチラッと見てから、反応を楽しんでる様に笑う。


「知ってますよ。昨夜奈月、先生のとこ泊まりだったでしょ?
今朝コイツのお袋さんに心配されたんですよ。
相手が俺だと思ってるみたいで。
いくら幼なじみでも、奈月じゃうちの迷惑なんじゃないかって」

「お、お母さん、なんて事を……」


信じられない情報源に、私は頭を抱えた。
なんで私が外泊すると健太郎の所だと思うんだか。
しかも娘の外泊先を健太郎の所だと誤解したまま、怒るどころか迷惑じゃないか、なんて。
そんなの、絶対普通の親の感覚じゃない。


「……なるほどね。
参考までに聞くけど、なんで僕のとこに泊まりなんて思ったの?
相沢さんの外泊先に疑われるのは光栄だけど」

「しゅ……、せ、先生!?」


もう既に愁夜さんはペースを取り戻していて、多分この状況を面白がっている。
テンパってるのは私だけだった。


「昨日、帰る前に奈月、先生の住所確認してたし」

「家に来たのが昨夜とは限らないし、来たとしてもその後別の場所に行ったとか思わないの?」

「そう思いたいとこだけど。
……コイツ、胸元にキスマーク付けてるし。
絶対男のとこに泊まってるに決まってるし、今考えられるの先生しかいないじゃん」

「え? ……ええっ!?」


健太郎が私を横目で見るのがわかる。
私はギョッとして自分の胸に両手を回した。


キスマーク!? そんなのどこに?
って言うか、なんでそんなとこ見てるの!?
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