解ける螺旋
健太郎もその沈黙に意味を感じ取ったのか、ガタンと音を立てて立ち上がる。
「論文のアドバイス、ありがとうございます。
奈月、行くよ」
「え……? 健太郎!?」
まだ黙っている愁夜さんを気にせず、健太郎が私の腕を掴む。
「早く。行くとこあるんだ」
「ちょっ……!」
「……頑張って」
健太郎に抗議の声を上げようとした時、愁夜さんがサラリと言った。
その声の冷たさに、思わず振り返る。
目線を合わせずに宙を見ている愁夜さんの横顔に、ドキッとした。
切り裂かれるかと思う位、鋭い瞳。
「……愁夜さん?」
健太郎に腕を引かれて、半分引き摺られる様に歩き出しながら、無意識に名前を呼んだ。
私の声に、愁夜さんがゆっくりと私に視線を返す。
「愁……。ま、待って、健太郎!」
想いの半分以上を残したまま、私は健太郎の力に逆らえずに、研究室から出た。
「論文のアドバイス、ありがとうございます。
奈月、行くよ」
「え……? 健太郎!?」
まだ黙っている愁夜さんを気にせず、健太郎が私の腕を掴む。
「早く。行くとこあるんだ」
「ちょっ……!」
「……頑張って」
健太郎に抗議の声を上げようとした時、愁夜さんがサラリと言った。
その声の冷たさに、思わず振り返る。
目線を合わせずに宙を見ている愁夜さんの横顔に、ドキッとした。
切り裂かれるかと思う位、鋭い瞳。
「……愁夜さん?」
健太郎に腕を引かれて、半分引き摺られる様に歩き出しながら、無意識に名前を呼んだ。
私の声に、愁夜さんがゆっくりと私に視線を返す。
「愁……。ま、待って、健太郎!」
想いの半分以上を残したまま、私は健太郎の力に逆らえずに、研究室から出た。