解ける螺旋
会ってしまったら、一目でわかってしまうんだろうか。
大学生ならば、28歳の姿とそう変わらないと思う。
もし西谷さんのお兄さんが本当に愁夜さんだと言うなら、私は平気な顔して会うことが出来るんだろうか。
西谷さんのお兄さんには、今、彼女がいる。
愁夜さんと関係がないとしても、なんだか胸がモヤモヤする。
「うん。じゃ、西谷さんが退院した後にでも二人でお邪魔しよっか」
健太郎の笑顔もなんだかちょっと胡散臭くて、私は微妙な表情しか向けられない。
「はい。あ、結城さんと相沢さんは確か23歳でしたよね? 大学院生で。
うちの兄も同い年だから、話も合うかもしれませんね」
「え、同い年?
……パーティーにも来てたんだよね?」
「はい。相沢さんのご両親の挨拶の時は一緒に聞いてたんですけど、その後は一人で庭に行ってしまって。
受付で名前書く時は一緒だったから、記録に残ってると思いますけど。
西谷愁夜(にしたにしゅうや)って言うんです。東都医大の五年生」
無邪気な西谷さんの声に、心が鷲掴みにされる気分だった。
「西谷、……愁夜?」
思わず無意識に呟いてしまった。
健太郎は何も言わずに、ただ私をジッと見つめている。
「あの。相沢さん?」
西谷さんの心配そうな声が遠くに聞こえた。
「……なんでもないよ。
ああ、あんまり長話は良くないね。
今度は退院後に会いに行くね。お大事に」
「あ、はい。……ありがとうございました」
西谷さんのお礼を背中で聞いた。
私は健太郎に背を押されて、半分呆然としたまま病室を出ていた。
大学生ならば、28歳の姿とそう変わらないと思う。
もし西谷さんのお兄さんが本当に愁夜さんだと言うなら、私は平気な顔して会うことが出来るんだろうか。
西谷さんのお兄さんには、今、彼女がいる。
愁夜さんと関係がないとしても、なんだか胸がモヤモヤする。
「うん。じゃ、西谷さんが退院した後にでも二人でお邪魔しよっか」
健太郎の笑顔もなんだかちょっと胡散臭くて、私は微妙な表情しか向けられない。
「はい。あ、結城さんと相沢さんは確か23歳でしたよね? 大学院生で。
うちの兄も同い年だから、話も合うかもしれませんね」
「え、同い年?
……パーティーにも来てたんだよね?」
「はい。相沢さんのご両親の挨拶の時は一緒に聞いてたんですけど、その後は一人で庭に行ってしまって。
受付で名前書く時は一緒だったから、記録に残ってると思いますけど。
西谷愁夜(にしたにしゅうや)って言うんです。東都医大の五年生」
無邪気な西谷さんの声に、心が鷲掴みにされる気分だった。
「西谷、……愁夜?」
思わず無意識に呟いてしまった。
健太郎は何も言わずに、ただ私をジッと見つめている。
「あの。相沢さん?」
西谷さんの心配そうな声が遠くに聞こえた。
「……なんでもないよ。
ああ、あんまり長話は良くないね。
今度は退院後に会いに行くね。お大事に」
「あ、はい。……ありがとうございました」
西谷さんのお礼を背中で聞いた。
私は健太郎に背を押されて、半分呆然としたまま病室を出ていた。