解ける螺旋
真美の言葉が信じられない。


――奈月が、結城と……?


一瞬脳がぐらりと揺れた様な感覚に襲われた。


なんでそんな結果になる?
奈月と結城の『恋』はぶち壊したはずだった。
結果を確認して来た訳じゃないけど、俺が把握していた限り、真美と結城は距離を縮めて行ける状況に創り上げたはずだ。


そして願った通り、26歳になった真美は結城と恋をし続けて来ていた。
きっと上手く行っていたはずだ。
いつも結城の心の中にいた奈月を、俺は奪ったんだから。


なのに五年間の幸せを、またこんな形で奪い返される。


――奈月。


声に出さない様に、心の中で呟いた。


どうして。
奈月は俺を待ってるって言ったのに。
俺が突き放したって、絶対に待つって言ってきかなかったくせに。
そんな事をグルグルと考えながら、ああそうか、と額に手を遣った。
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