解ける螺旋
この未来に戻ってからの意味不明な寂寥感。
この広い世界に俺はたった独り。
だけど奈月が傍に居たならば、少なくとも奈月だけは俺と近い記憶を持ってくれている。


記憶を共有出来ると思っていた。
俺の孤独を少しは緩和してくれるんじゃないかと、甘えていたのかもしれない。
待ってるって言ってたから。
だから戻って来た時も傍にいるもんだと。


だけど傍に居ない。
結局奈月は、結城の元に戻るのか。
そんな事実に、俺はありえない程ショックを受けていた。


どうしたって、最後に結城と結ばれる相手は奈月なのか。
あの二人の運命はそう定められているのか。


そうだと言うなら、もう生まれた時から何らかの干渉をしないといけない。
そんなの、途方もないことだ。


俺が跳び越えた五年の間に、二人に何があった？
それはどんな俺の記憶にもなく、どうしようもなく焦りを感じる。


――真美が幸せを手にする未来の為なら。


それなら俺は、もう一度――
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