解ける螺旋
寂しがり屋。
まるで子供を宥めている様な言い方なのに、安心する。


俺が他人からそんな事を言われるなんて思いもしなかった。


――世界の全てを知り尽くした、たった一人の観測者。
それは、俺が自ら、孤独を選んだ結果だとしても。


俺は心のどこかで、このまま未来に進む事はないんじゃないかと思っていた様な気がする。
それはつまり、俺の孤独は一生終わらないのと同じ意味でもあり。
誰かの心に俺が留まる事を、諦めていたんだとわかる。


だけど今、奈月は知ってくれている。
今後俺は、独りで孤独に耐えなくていいんじゃないかと、信じたくなる。


「大丈夫。これからはずっと一緒にいるよ」


首筋に埋まる俺の耳元で、奈月ははっきりそう言った。
その穏やかな声に、心の底から温かい物が湧き上がって来る。


なのに。


「……なんで……?」


自分で望んでおきながら、奈月の言葉が信じられなかった。


俺はずっと酷い事をして来た。
それは今の奈月が直接受けていない行為かも知れないけど、俺は奈月の命を軽く扱ってきた。
心を切り裂く様な事をした。

それなのになんで俺に優しく出来るのか、奈月の心がわからない。


「なんで、って……」


奈月の声が困った様な色を孕んだ。
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