解ける螺旋
それはなんとなく鬱陶しい事になりそうで、結構憂鬱になる。


「だって何も知らない真美さんに聞く訳に行かないし。
幼なじみとは言え、二人の事に私が口出し出来ないし。
真美さんのお兄さんって立場の愁夜さんなら、健太郎から話を聞く事も出来るでしょ?
真美さんと健太郎の幸せの為なんだから」


結城の幸せはともかく、真美の幸せを願ったのは俺だ。
そしてその幸せに、今では結城っていう必要絶対条件な存在があって。


「……今の真美なら、結城と別れても幸せに生きていける様な気も……」

「散々振り回しておいて、何!?
今度は健太郎の幸せの為に手助けしてやるくらい、出来るよね?」


嫌でも渋い顔になる。
奈月の言葉は痛い位正論だけど、俺と結城が顔を合わせたら、ただのいがみ合いにしかならない気がする。


今の結城は俺が何をしたかを知ってる。
俺に対していい感情を持ってる訳がないし、むしろ憎まれていると思って正解だろう。


……いくら真美の兄貴とは言え。
結城に会う。
いずれそんな時が来るってわかってはいても、それがこういう状況で、と言うのはあまり考えていなかった。
どちらかと言わなくても気が進まない。


なかなか、うん、と言わない俺に、奈月が痺れを切らした様に振り向いた。


「じゃあ、このまま私が健太郎と結婚する事になっても、愁夜さんは簡単に諦められるって事ですよね」

「いや、それとこれとは話が……」

「同じですっ。
私と健太郎の二人掛かりで反抗してるのに破談にならないんだもん。
健太郎は真美さんの存在を理由にしてるから、私も愁夜さんの存在を持ち出せば絶対婚約なんか無くなるのに。
……今から健太郎とも話つけておいた方がいいに決まってるじゃないですか」

「……」
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