解ける螺旋
その後やっと現れた健太郎にも、私は同じ話題を振ってみた。
やっぱり突拍子がなかった質問なのか、健太郎は物凄く不審な顔を私に向けてくる。
だけどそれが私達の研究にもそれなりに結び付く内容だったからか。
荷物を乱暴に置くと、パイプ椅子を引いて座ってから軽く宙を眺めた。
「……未来かな」
「おお」
三対一。
多数決でも勝ち負けがある訳でもないのに、何だか私は勝った気分になる。
そしてそんな私の表情を物凄く胡散臭い目で眺めてから、教授と樫本先生の結論を話すと、ああ、と短く呟いた。
「俺、何も後悔してる事ないし、別に気になってる過去もない。
過去に戻ってあの時どうしたか、とか思わないし、むしろ今この場の選択がどういう未来に繋がるかの方が興味がある」
健太郎らしい答えだとは思ったけれど。
その未来をみた後、今の選択肢を変えたいという発想には繋がらないのかな、と思ったら、結局過去をみても未来をみても、何も変わらないのかな、という結論に達した。
「お前が過去で何を知りたいのかは、まあ何となくわかるけどさ。
何を知りたくても結局『多世界』だろ?
その可能性は無限で、だけどどの世界の俺も『俺』だから。
多分根本は変わらないと思うから、この後どうなるかが知りたいだけ」
一番理性的な人物なのに、無数の未来に想いを寄せるなんて、実は誰よりも夢がある。
真面目な顔をしてそう言ったら、真っ赤な顔をした後殴られた。
やっぱり突拍子がなかった質問なのか、健太郎は物凄く不審な顔を私に向けてくる。
だけどそれが私達の研究にもそれなりに結び付く内容だったからか。
荷物を乱暴に置くと、パイプ椅子を引いて座ってから軽く宙を眺めた。
「……未来かな」
「おお」
三対一。
多数決でも勝ち負けがある訳でもないのに、何だか私は勝った気分になる。
そしてそんな私の表情を物凄く胡散臭い目で眺めてから、教授と樫本先生の結論を話すと、ああ、と短く呟いた。
「俺、何も後悔してる事ないし、別に気になってる過去もない。
過去に戻ってあの時どうしたか、とか思わないし、むしろ今この場の選択がどういう未来に繋がるかの方が興味がある」
健太郎らしい答えだとは思ったけれど。
その未来をみた後、今の選択肢を変えたいという発想には繋がらないのかな、と思ったら、結局過去をみても未来をみても、何も変わらないのかな、という結論に達した。
「お前が過去で何を知りたいのかは、まあ何となくわかるけどさ。
何を知りたくても結局『多世界』だろ?
その可能性は無限で、だけどどの世界の俺も『俺』だから。
多分根本は変わらないと思うから、この後どうなるかが知りたいだけ」
一番理性的な人物なのに、無数の未来に想いを寄せるなんて、実は誰よりも夢がある。
真面目な顔をしてそう言ったら、真っ赤な顔をした後殴られた。