解ける螺旋
そう言われた途端に、また心臓が勝手に高鳴る。
それを簡単に気付かれて、私は真っ赤になって俯いた。


「怖がってるのか、緊張してるのか。
興奮してるのか、何か期待してるのか。
……後は何が考えられるかな。
色々あるとは思うけど、どう?
自分で説明する気、ある?」


目の前の先生が、少し意地悪な笑みを浮かべた。
私をからかう時に浮かべる表情。
知らない表情ではないけど、こんな至近距離で意味深な事を言われたら、そりゃあ動悸だって起きると思うと声を上げて言いたい。


「そ、そんな事考えてません!
相手が誰だって、いきなりこんな近くにいたら私じゃなくても誰だって!」


嘘じゃない。本当の事なのに。


「近くにいるからドキドキするの?
……つまり。なるほど。この先何が起きるかを期待してるって事か」

「な、何を期待してるなんて!?」


さっきから翻弄する様に繰り出される先生の言葉に、思わず声を上げた。
からかってるにしてもいつもともうレベルが違う。
だから私も自分が物凄く焦ってるのを自覚した時。


「……まだ言わないか」

「……!?」


一瞬、唇を掠った感触に目を見開いた。
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