おおかみとちいさなうさぎ
おおかみは森中の動物達の中でも体が大きく、一際力も強い。喧嘩も一番強かった。
おおかみはうさぎを見る度にうさぎに意地悪を言った。
「おぉっと、うさぎ。ちっさすぎて見えなかったぜ。」
「相変わらず弱々しいなぁ。」
「なんだ、あんな木の実ひとつとれないのか。」
体が大きく強いおおかみは小さく弱いうさぎを馬鹿にしていたが、優しく、争いが嫌いなうさぎはいつも笑顔を浮かべて
「こんにちは、おおかみさん。今日も元気そうでよかった。」
と挨拶するのだった。
おおかみにどんなに意地悪をされても決してうさぎはおおかみの悪口を言い返したりしなかった。
だれかに悪口を言われたからといって、悪口を言い返していてはお互いが悲しい気持ちになるだけだとわかっていたから。
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