Rainy days never stay~心の傷痕~

去年の10月出張帰りに家に帰る途中、マンション近くの公園で、俺はある女性に出会った。

その日は夕方から雨が降り出していて。

彼女は雨に濡れるのも気にせず、美術館の敷地内にある公園のベンチに座っていた。

10月の初めとはいえ、その日は雨が降ってることもあって随分冷え込んでいた。

俺は心配になり、声をかけた。

だけど、彼女は一瞬ピクリと動いて俺の方を見たものの、すぐにまた前を向いてしまった。

俺にはどうすることも出来なくて、仕方なくせめてこれ以上濡れないようにと俺の傘を彼女の肩にさして帰った。

家に着いた後も彼女のことが俺は気になって仕方がなかった。

だから、もう一度あの公園に行ってみたんだ。

だけど、俺が行ったときには彼女はもういなくなっていた。

幻だったんじゃないかって思ったよ。

でも、俺の傘はなくなっていたから本当に起こった出来事だと思えた。

それから何となくだけど、俺の頭の片隅に彼女のことがあって、あの公園を通る度に思い出してた。

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