Rainy days never stay~心の傷痕~
そんなときだ、龍之介が君に電話をかけて呼び出したのは。

あの時の龍之介は毎年荒れる時期で、いつもなら俺は止めていた。

だけど、あの時はチャンスだと思ったんだ。

君と知り合いになれる。

それからは、話す度どんどん俺は君に惹かれていった。

自分にストイックで、とても頑張り屋なところ。

いつもは1人でも大丈夫みたいにつっぱっているのに、時折見せる頼りなげな横顔。

人に頼る方法を知らないところ。

とても無防備なところ。

自分が女性だってこと、全然自覚がないんだ。

だから、同姓に話しかける様に平気で男性に近付いていく。

その男も初めは意識するんだけど、桜子にその気がないと分かると諦めるみたいだけどね。

誰にでも平等に接する彼女の姿勢は好ましく思ったけど、その代わり心配でもあった。

いつか心に大きな傷を負うんじゃないかって。

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