Rainy days never stay~心の傷痕~
私はそのとき、その場から逃げなかった。

ちゃんと2人の話を聞いた。

そのときの私は自分がびっくりするくらい平静を保ててた。

彼女は大学に入学したときからずっと、進のことが好きだったそうだ。

私が進と付き合うずっと前から。

彼が卒業して1年経っても、彼女は進のことを忘れられなかった。

だから、進が私と付き合っていること承知の上で、卒業してすぐに彼を追いかけて福岡にきた。

その気持ちに進は応えた。

私は敵わないと思ったの。

だって、私にはできなかったから。

自分のことよりも、彼のことを最優先することなんてできなかった。

彼には、君が最近何を考えているのか分からないって言われたわ。

確かに私から進に自分のこと話す機会、少なくなっていたと思う。

私は、黙って彼のマンションを去った。

納得して別れたつもりだったの。

だけど福岡を離れるにつれ、私は平静でいられなくなっていった。

帰りの新幹線で涙が止まらなかった。

だって、5年も一緒にいたのに。

私のこと理解してくれていると思ってた。

いつも応援してくれていたから。

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