Rainy days never stay~心の傷痕~
まだ時間が早いこともあり、休憩室には誰もいない。

先輩は2人分のコーヒーを買い、一つを私に差し出す。

「ありがとうございます。」

私は素直に受け取った。

2人で向かい合い、そこにある長椅子に腰掛ける。

「金曜日のことなんだが、本当に申し訳ない。」
 

突然先輩が頭を下げる。

「千葉に電話して呼び出した所までは覚えてるんだが、その後の記憶が曖昧で。」
 

何だ、そんなことか。
先輩が深刻な顔をしているので、もっと重大な話だと思ってしまった。

「気にしないで下さい。私は全く気にしてませんから。」

これは本当の本音。

だって、そのお陰で小牧さんや長谷川さんとも知り合えたんだから。

実際私のいる部署と営業部が接点を持つ機会は滅多に無い。

だから貴重な場だったと私は思ってる。

「いや、しかし次の日小牧にこっぴどく叱られてな。ちゃんと千葉に謝って来いと。」

クスっ、思わず笑っちゃう。

あんなにいつも俺様的な先輩が、小牧さんには頭が上がらないんだ。
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