Rainy days never stay~心の傷痕~
クスッ。軽く長谷川さんが笑う。

「本当に全力で否定するのな。」

「長谷川さんがそういうこと言うからじゃないですか。」

「俺は本気なんだけどな。」

「そんなの信じられません。」
だって長谷川さん、私のことまだ何も知らないんだよ。

それなのに思わせぶりな態度は逆に怪しく感じてしまう。

「やばっ、もうこんな時間だ。行かないと。」

腕時計を見て、長谷川さんが呟いた。

この微妙な会話から開放されて、私はちょっとホッとする。

「行ってらっしゃい。気をつけて。」

「ありがとう。行ってきます。」

長谷川さんの手が近付いたかと思うと、髪をクシャッとして私の頭を撫でた。
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